NEWST-Startupに関するお知らせ

  1. HOME
  2. NEWS
  3. 【T-Startupインタビュー】ドローン飛行記録のDX化で未来を切り拓く。現役大学生が挑む革新的サービス ー株式会社NK SkyTech Solutions
   お知らせ

【T-Startupインタビュー】ドローン飛行記録のDX化で未来を切り拓く。現役大学生が挑む革新的サービス ー株式会社NK SkyTech Solutions

富山県が主催するスタートアップ支援プログラム「T-Startup」。その選定企業の一つである株式会社NK SkyTech Solutionsは、ドローン飛行記録のDX化サービス「Touch de 飛行日誌」を提供しています。同社の代表である現役大学生の中駿介さんに、起業の経緯やサービスの魅力、未来へのビジョンを伺いました。

中駿介 氏(なか・しゅんすけ)
株式会社NK SkyTech Solutions代表
富山県高岡市出身。同志社大学法学部在学中。ドローンによる農薬散布の個人事業の立上げ、富山県主催のポートランド/シリコンバレーでの起業家研修を経て、株式会社 NK SkyTech Solutions を創業。改正航空法に対応した飛行日誌の作成支援サービスを展開し、2023年に経済産業省J-starX事業シリコンバレー派遣企業に採択。2024年にT-Startup企業に選定。趣味は三味線。

煩雑な作業を革新する「Touch de 飛行日誌」

―本日はよろしくお願いいたします。はじめに、「Touch de 飛行日誌」のサービスについて教えてください。
中氏 ドローンにICシールを貼り付けるだけで、飛行記録を自動生成できるサービスです。離発着時間や飛行場所、操縦者情報などをワンタップで記録できます。従来の手作業やExcelでの記録に比べ、圧倒的に簡単で正確に処理できるようになっています。


ーサービス開発を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
中氏 もともと個人事業でドローンを使った農薬散布を行っていました。その経験から、飛行記録の煩雑さを痛感したんです。当時、改正航空法で飛行記録が義務化され、手書きやExcelでの記録が主流でしたが、とても非効率だと感じていました。そこで、もっと簡単に記録できる仕組みを作れるのではないかと考え、サービス開発を始めました。

 

現役大学生が挑む“起業”という選択肢

―現役大学生として、就活ではなく起業を選ばれた背景を教えてください。
中氏 大学1年生の頃からずっと起業したいという気持ちがありました。具体的なビジネスプランはまだありませんでしたが、とにかく行動しようと考え、大阪のアクセラレータープログラムに参加したり、富山県主催のポートランド/シリコンバレー起業ビジネス研修に応募しました。そこでピッチやプレゼンを学び、たくさんの起業家の話を聞く中で、起業への思いがさらに強くなっていきました。学生生活では経験できないようなビジネスマンのみなさんとコミュニケーションを交わす機会も多く、自分のプロトタイプを見せて評価していただいたり、サービスを説明したりする中で、ビジネス視点のアドバイスをもらうことができました。


―起業を目指す中で、特に印象的だった経験は何ですか?
中氏 富山県のポートランド/シリコンバレー起業ビジネス研修や、経産省のJ-StarXプログラムで2度シリコンバレーを訪れる機会がありました。アメリカのスタートアップの市場の捉え方やプロダクト開発の考え方に触れて刺激を受けました。国内外のスタートアップの違いを実感しつつ、グローバル進出の可能性を広げる視点を得られたのは貴重な経験でした。

 

ドローン業界の変革期に応えるDXの必要性

―ドローン業界の現状や、このサービスが注目される背景を教えてください。
中氏 現在のドローンの主な用途は、農業、インフラ点検、測量、撮影などです。一方で、アメリカでは既に運送や人流監視などにもドローンの実証が行われています。日本では騒音問題などの課題があり、まだ社会実装には至っていません。
用途が多様化するドローン業界では、数年前から民間資格が国家資格へ移行しました。業務でドローンを使用する方々にとって、国家資格が必要になりつつあるのと同時に、飛行記録の適切な管理ニーズが高まっています。改正航空法によって、3つの飛行記録形式が推奨・義務化されているのですが、これを従来のやり方で記録するのはかなり手間がかかります。とはいえ、業務でドローンを飛ばす場合はほぼ確実に対応が必須で、実際に対応せずに法令違反になっている事例が急増しています。だからこそ、誰もが簡単にできるよう、DX化による効率化が求められているのです。


ードローンの活用が多様化する中、「Touch de 飛行日誌」ならではの強みはどのような点でしょうか?
中氏 導入の簡単さが大きな強みです。ドローンのメーカーや機種を問わず、ICシールを貼るだけで使えるので、誰でも簡単に導入できます。プロトタイプを作った段階では、農業用ドローンのユーザーや測量、撮影、インフラ点検を行う方々にお試しいただきました。現在は、全国のドローンスクールや個人事業主の方々を含めて、約20台が本格的に導入・運用されています。

 

T-Startupで描く未来へのマイルストーン

―今回のT-Startupプログラムに参加するにあたって、どのような期待をお持ちでしたか?
中氏 事業戦略を外部のプロフェッショナルな視点で見直したかったのが参加のきっかけです。自分たちなりに描いていたマイルストーンをブラッシュアップし、メンテナンスしながら改善していきたいと思っています。実際にT-Startupの伴走支援では、期待どおりに丁寧にサポートしていただいています。


―中さんがこれから注力したい分野について教えてください。
中氏 特に注目しているのはインフラ点検分野です。インフラ点検のような法人向けの分野はコンプライアンス意識が高いため、法令遵守を簡単に実現できるサービスへの需要が高いと考えています。
また、これから資格を取得する方々が集まるドローンスクールにも力を入れたいと思っています。サービスを広めるチャネルとしても期待できると考えています。


―最後に、今後の事業展開についてお聞かせください。
中氏 将来的には、蓄積された飛行記録データを活用して新しいビジネス展開ができればと思っています。例えば、保険業界との連携として事故率やリスクを分析して保険料に反映させたり、自律飛行時代に向けたデータ基盤の構築に活用するなど、可能性は無限大だと思います。自律飛行が一般化する未来において、どの地域でどのようにドローンが活用されているかをデータで把握することが重要になってくると思います。その基盤を今からしっかり作っていきたいです。


中さんの挑戦は、ドローン市場のDX化を進めるだけでなく、次世代のスタートアップにとってもロールモデルとなる存在です。その視線の先には、すでに世界が広がっています。

「T-Startup Leaders Program 2024」について
T-Startup企業とは、高い成長が見込まれ、富山県内外のイノベーションを牽引する可能性を秘める県内企業です。本プログラムでは事務局を中心とした伴走メンターにより、選定企業の成長目標や課題などを元にプログラム期間内での最適な支援内容が策定され、6ヶ月の期間で急成長に向けた伴走型のハンズオン支援が提供されます。

【T-Startupリンク】
https://t-startup.jp/