2024.12.27 お知らせ 【T-Startupインタビュー】地域航空で叶える、新たな人流創出と地域活性化 ー株式会社ジェイキャスエアウェイズ 富山県が主催するスタートアップ支援プログラム「T-Startup」。その選定企業の一つである株式会社ジェイキャスエアウェイズは、2026年の富山・米子同時就航を目指し、新たな地域航空の提案に挑むスタートアップです。同社の共同代表である梅本祐紀さんに、チームの組成や地域航空にかける想い、地域との共創に向けたビジョンを伺いました。 梅本祐紀 氏(うめもと・ゆうき)株式会社ジェイキャスエアウェイズ 代表取締役複数のスタートアップをIPOへ導いたシリアルアントレプレナー。2018年に東証プライム市場へ上場したand factory社は創業期から参画。インバウンド×宿泊領域の事業を立ち上げ、都内中心に10店舗以上を展開。2021年の独立後からはコンサルティング活動を開始し、IPO直前期の複数のスタートアップにおいて、事業開発支援をハンズオンで実施。2023年9月にジェイキャスエアウェイズの共同代表に就任。2024年度T-Startup企業として選定。航空業界に新しい風を起こす“エアライン×地域創生”―本日はよろしくお願いいたします。御社は航空業界とスタートアップ経営のエキスパートが集まったユニークなチームですが、梅本さんが参画された経緯を教えてください。梅本氏 ジェイキャスエアウェイズは、もともと共同代表の白根が「日本で新しい形の地域航空を実現したい」という想いからスタートしました。白根と取締役の長尾はJAL出身で、白根はスカイマークの立ち上げにも関わった経験を持つ航空業界のエキスパートです。そんな二人が、“エアライン×地域創生”を実現するために経営や資金調達の専門性を持つメンバーがチームに必要だと考え、共同代表となる人材を探していたのです。ーそのタイミングで梅本さんに声がかかったのですね。梅本氏 はい。知人を通じて白根と長尾を紹介され、彼らの地域航空に対する想いや課題を聞く中で、日本の未来に必要な事業だと感じました。また、私自身も実は高校時代にパイロットになりたいと思い描いていたこともあり、航空業界に憧れがありました。パイロットの道は諦めたけれど航空業界で仕事をつくれるかもしれないと思い、千載一遇のチャンスだと感じて2023年9月にチームにジョインしました。 ジェイキャスエアウェイズが目指す地域航空の在り方―既存の地域航空会社と比べて、ジェイキャスエアウェイズならではの特徴は何ですか?梅本氏 航空路線の選び方とその後の取り組み方に違いがあると思っています。従来の地域航空会社では、離島など地域住民の生活を支える交通手段として立ち上がったケースが多いです。一方、私たちは比較的需要の少ない空路にも挑戦しながら“新しい人流”をつくり出すことに重点を置いています。そして、ただ人を運ぶだけではなく、地域と連携してその先の体験や価値創出にも力を入れていきたいです。―新しい空路づくりだけではない挑戦なのですね。梅本氏 はい。せっかく新しい人の流れを生み出すのだから、空路を開設して人を送り込んだ後のことは地域に任せるのではなく、その流れを地域の方々と一緒に途切れさせないように努めていきます。隠れた資源や魅力を発掘し、伝えるお手伝いを続けていくことも私たちの大切な役割だと考えています。 初期就航地に富山・米子を選んだ理由と期待とは―2026年春の富山・米子同時就航に向けて動いていますが、なぜこの2拠点を選ばれたのですか?梅本氏 理由は、経済的な面と地域の可能性の二つがあります。一つは、富山と米子は私たちの分析で“収益性が高い路線”だと判断したからというシンプルな理由です。使用予定のATR72-600であれば、黒字経営が見込める路線でした。そしてもう一つは、地域創生の観点からです。富山も米子も自然や食など観光資源に恵まれており、国内外から訪れるみなさんにとって魅力的な地域です。特に富山は、北陸新幹線の開業もあり交通網が整っています。空港の利用価値をより高めることで、新しい人流をさらに生み出せると考えています。―最近ではインバウンド観光客も増加していますが、地域航空としての役割はどうお考えですか?梅本氏 日本への観光客は、初回は東京や大阪、京都といった主要都市を訪れますが、その後「次はもっと静かな場所でゆったりと日本の魅力を感じたい」と考える方が増えています。そのようなリピーターのニーズに富山や米子のような地域の魅力を届ける空路を提供することで、新しい観光需要を引き出すことができると思います。観光庁のデータを見ても、この流れは今後さらに加速すると感じています。 地域と共に盛り上げる、空から始まる新たな旅路。―地域活性化のため、どのような業界や分野と連携していきたいですか?梅本氏 バスやタクシーなどの二次交通業者のみなさんとは、特に密接に連携していきたいです。また、観光地や地域の魅力を伝える知見を持つ方とも積極的に繋がりたいと考えています。空港に着いた後の移動手段や旅先での体験も含めて、地域のみなさんと協力して点を線に、そして面に広げる取り組みを進めていきたいです。―2026年春の就航に向けての意気込みと、地域のみなさんへのメッセージをお願いします。梅本氏 就航前から地元の方々に私たちのことを知っていただき、就航後には地域全体で盛り上がれるように機運を高めていきたいです。そのためにも、T-Startupプログラムを始め、みなさんに発信できる機会への参加や説明会の開催などに取り組んでいきます。そして、就航時にはぜひ私たちの飛行機に乗っていただけると嬉しいですね。空の旅の楽しさを感じてもらえるような魅力的なサービスを提供していきます。今後もみなさんの声やご意見を聞かせていただきたいです。 ジェイキャスエアウェイズが生み出す新たな人流と地域の未来。その挑戦は、地域航空のモデルケースとして注目されるとともに、多くの地方の可能性を切り拓いていくでしょう。「T-Startup Leaders Program 2024」についてT-Startup企業とは、高い成長が見込まれ、富山県内外のイノベーションを牽引する可能性を秘める県内企業です。本プログラムでは事務局を中心とした伴走メンターにより、選定企業の成長目標や課題などを元にプログラム期間内での最適な支援内容が策定され、6ヶ月の期間で急成長に向けた伴走型のハンズオン支援が提供されます。【T-Startupリンク】https://t-startup.jp/ T-Startupからのお便り 2024年12月号 【T-Startupインタビュー】資産運用をもっと身近に。初心者も安...