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【T-Startupインタビュー】T-Startup 3年間の集大成。富山大学発ベンチャー1号が挑む、 無菌検査技術の革命 - LABTECHS(ラボテクス)株式会社

富山大学発ベンチャー第1号として、医療や診断分野に革新をもたらそうとしているLABTECHS株式会社。同社は、富山県が主催するスタートアップ支援プログラム「T-Startup Leaders Program」の支援対象に3年連続で選定され、着実に歩みを進めてきました。2026年4月、主要プロダクトである「迅速無菌試験キット」がいよいよ量産販売のフェーズへと突入します。代表取締役の仁井見英樹氏に、これまでの3年間の軌跡と、目前に迫ったさらなる飛躍、そして起業家としての想いを伺いました。

仁井見英樹 氏(にいみ・ひでき) 
LABTECHS株式会社代表取締役 
鹿児島大学医学部卒。癌研究会癌研究所生化学部、スウェーデン・ウプサラ大学ルードヴィヒ癌研究所を経て、富山大学に着任。現在、富山大学医学部 臨床分子病態検査学講座 教授、富山大学附属病院 検査・輸血細胞治療部 部長、遺伝子診療部 部長、総合感染症センター 副センター長。2021年9月に富山大学発ベンチャー1号としてLABTECHS社を創業。

前例なき「大学発ベンチャー1号」の支えとなった、T-Startupの伴走 

―3年連続でT-Startupの支援対象に選定され、今年度はプログラムの“集大成”として取り組んでこられたと伺っていますが、この3年間を振り返ってどのような手応えを感じていらっしゃいますか。

仁井見氏 ありがとうございます。振り返れば、最初の2年間は会社を形にするフェーズでした。書類上の設立からスタートし、責任ある組織としての体制を整える。そこをT-Startupに手厚くサポートしていただき、富山大学との契約締結、資金調達の戦略策定、人材採用、ラボの立ち上げ、発信の強化など、事業を行うための強固な土台が出来上がりました。

そして3年目となる今年度は、その土台の上に事業力を築いていくフェーズとして、会社が自立して成長していくための力を蓄える期間でした。今回の支援のおかげで、当初目指していたゴールにしっかりと近づけているという確信を持っています。

ー富山大学発ベンチャー第1号ということで、前例のない中での苦労も多かったのではないでしょうか。

仁井見氏 そうですね。大学との契約一つとっても、何もないところから大学と協力して手探りで進めるしかありませんでした。進むべき方向性に迷ったときや、予期せぬ問題に直面したとき、T-Startupの伴走支援はとても心強かったです。私たちが目指すべきゴールを常に見据え、正しい方向へと導いていただける存在でした。伴走があったからこそ、迷いなく進み続けることができ、現在の成果に繋がったと感じています。

LABTECHS株式会社 社内の様子

待望の量産販売開始!市場の熱い期待

―いよいよ2026年4月から、御社の核となる「迅速無菌試験キット」の量産販売が始まります。現在の周囲の反応はいかがでしょうか。

仁井見氏 大きな手応えを感じています。昨今、再生医療等製品における安全性の確保は、社会的にも極めて重要な課題となっています。そうした背景もあり、私たちの高感度かつ迅速な無菌検査技術へのニーズが急速に高まっています。

T-Startupを通じて私たちの取り組みが広く認知されたこともあり、現在、多方面からお問い合わせをいただいています。すでに一部の施設には先行販売という形で導入していただいていますが、私たちの技術が市場のニーズと合致していることを日々実感しています。 

―具体的には、どのような引き合いがあるのでしょうか。

仁井見氏 検査会社はもちろん、実際に再生医療を提供しているクリニック、あるいは一定規模以上の無菌試験を自前で行う施設などが中心です。これまでの検査方法では時間がかかりすぎていたプロセスを、私たちのキットが劇的に短縮します。その価値が、現場のプロフェッショナルの方々に伝わり始めていると感じています。 

大学発ベンチャーの使命。世界を見据えて

―量産化という大きなステップを越え、次のステージへと進みますね。今後の事業展開やビジョンについて、どのようにお考えですか。

仁井見氏 私たちの一番のアイデンティティは「大学発ベンチャー」です。大学で培われた高度な研究成果をもとに、世の中にこれまでなかった新しい価値を創造する。それが私たちの経営理念であり、使命です。

既存の製品に近い領域であっても、必ず「LABTECHSならでは」の付加価値を乗せる。ベンチャーである以上、何らかの革新性がなければ存在意義はありません。市場のニーズを的確に捉えつつ、真に価値あるイノベーションを次々と社会実装することで、社会的(医学的)課題をグローバルに解決し、健康で活力ある社会の実現に幅広く寄与していきたいと考えています。

―国内に限らず、世界への展開もお考えですか?

仁井見氏 そうですね。技術に国境はありません。無菌試験の迅速化・高精度化という課題は、日本国内だけでなく世界共通のニーズです。最初からグローバル市場を視野に入れ、我々の製品を世界中に届けていきたい。市場を国内に限定せず、広い世界で勝負していきたいと思っています。

三足のわらじを履く起業家。次世代へのメッセージ

―仁井見さんは、大学教授として教壇に立ち、大学病院の検査現場で責任ある立場を務め、さらに起業家として会社を経営されています。まさに三足のわらじで道を切り拓いてこられました。その姿は後に続く人たちにとって大きな希望になるはずです。これから起業を目指す方々へ、メッセージをいただけますか。

仁井見氏 起業を考えるとき、多くの人が金銭的なリスクを心配されると思います。しかし、そのリスクは努力次第で最小限に抑えることができると思っています。先人たちの失敗や成功から学び、戦略的に進めば、私たちが通ってきたような試行錯誤をショートカットして、よりスムーズに進むことができるはずです。

私自身、前例のない挑戦ではありますが、大学の外に“ベンチャー”という活動拠点を持ったことで大学内だけでは実現できなかった“自分独自の仕事”を創り出し、社会貢献への新たな道が開けたと思っています。

―仁井見さんならではの社会実装ですね。

仁井見氏 はい。自分の技術を大学内に留めず、自らの手で社会へ還元することこそが研究開発者の責任であると思います。そこには強い覚悟が求められますが、覚悟を持って一歩踏み出せば、心底ワクワクする「意義あるチャレンジ」を楽しめると思います。

もちろん、多少のリスクを背負うことは避けられませんが、過度に恐れずに準備と努力でリスクをコントロールしながら、果敢にチャレンジし続けたいと思います。その結果、少しでも「健康で活力ある社会の実現」に寄与できるとすれば、何事にも代えがたい喜びであり、医学研究者としての本懐に他なりません。

大学の研究室という知の源泉から、社会という大きな海へ。LABTECHSの医療を支える基盤技術が世界へ普及したとき、私たちの暮らしはより健やかで快適なものへとアップデートされることでしょう。

「T-Startup Leaders Program」について
T-Startup企業とは、高い成長が見込まれ、富山県内外のイノベーションを牽引する可能性を秘めるスタートアップです。本プログラムでは事務局を中心とした伴走メンターにより、選定企業の成長目標や課題などを元にプログラム期間内での最適な支援内容が策定され、6ヶ月の期間で急成長に向けた伴走型のハンズオン支援が提供されます。

【T-Startupリンク】
https://t-startup.jp/